2013年12月10日 | category: Documentary Photography
水曜日1〜2限の授業、写真制作演習Aを見学させていただきました。この授業は写真専攻の3つの研究指標の中ではドキュメンタリーフォトグラフィにあたる授業で、担当は宮嶋康彦先生です。
ちょうどこの日は手作りオリジナル写真集を製作しているところでした。
すでに学生たちは自分で撮影した写真を出力、編集して順番を組んであるので、本文は完成しています。
この日の授業では、表紙を作る作業です。それぞれが自分の写真のイメージにあった素材を探して製作を進めています。
「紙には繊維の走っている方向があって、この紙の方向を間違えてしまうと、時間が経った時に本がゆがんだり、バラバラになったりします。」と、宮嶋先生。慎重に見定めます。
「宮嶋先生は紙の知識も豊富で、いろんな紙を教えてもらいました」と、学生。
こんな銀色の紙を使う学生もいました。このあと文字を切り抜くんだそうです。
今回の写真集はハードカバーなので、厚紙で芯を作ります。本文の厚さにあわせて 仮止めをしていきます。
真ん中の細い厚紙が本の背になります。
本の厚さや形、使っている紙の材質などによって、どういう補強をしていくか説明をうけます。補強材として寒冷紗(かんれいしゃ)を使うかどうかも先生の判断で決めます。
いよいよ本番の表紙に直接厚紙を貼付けていきます。
ボンドを5:1に水で薄めたものを刷毛で塗っていきますが、この刷毛の使い方が難しい。なるべく均一にむらなく塗ります。
緑のカッティングシートの下に糊付した表紙をはさんで、自分の体重でしっかりと圧着させます。ここの圧力がうまくかかるかで、見た目のきれいさが変わるそうです。なるべく均一に圧力をかけるように少しずつ動きながら体重をかけます。
きれいに貼れたようです。
本文の背に接着剤をつけていきます。この接着剤は本を作るとき専用のもので、粘り気があります。本がバラバラにならないように厚塗りしていきます。
こちらではカバーに文字を印刷するシルクスクリーンの打ち合わせです。文字の位置をあわせるのが難しそう。
余分にはみ出たところをカッターで切っていきます。「カッターで紙を切る時、一度で切ろうと思わないで何度も刃をあてて切るんだよ。」と、宮嶋先生。
表紙の紙を内側に折り込んで、角の部分を丁寧に処理します。
宮嶋先生がひとつだけ見本をやって下さって、あとは自分たちで。けっこうきれいにできていました。
最近はZINEのように簡易印刷の手製写真集が流行ですが、こうやって本格的に手製本を作れることは、今後ポートフォリオとして使えそうです。
「一度作ればたいていは慣れて作れるようになります」と、宮嶋先生。
そういえば、印刷で刷るのと違って折りの関係がないこのような作り方ならば、どのようなページ構成も可能ですね。想像が膨らみます。
取材協力ありがとうございました。
取材・写真:首藤幹夫
※ 完成した本は12月11日まで、7号館102スタジオにて展示中です。
ぜひ完成品を見てみて下さい。