内野桃写真展『鳩と洗濯と大根と海』

2014年1月23日 | category: 卒業生


写真専攻の卒業生、内野桃さんの写真展が開催中です。
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内野桃 写真展『鳩と洗濯と大根と海』

表参道画廊
2014.1.20mon.- 25sat.
12:00-19:00 最終日 17:00
東京都渋谷区神宮前4-17-3アーク・アトリウムB-02
tel/fax: 03-5775-2469
http://www.omotesando-garo.com/link.14/utino.html

プロフィール
内野桃 Uchino Momo
1990年 福岡県生まれ。
2013年3月 東京造形大学造形学部デザイン学科写真専攻領域卒業。
2013年4月 明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系入学。現在に至る。

作品数 28点
制作年 2012-13年
材質・技法 タイプCプリント、ゼラチン・シルバープリント
サイズ 356×432mm

ステイトメント

シャッター切ったのは感動したからではなくて、直感がはたらいたからというほうが正直である。なぜ撮ったのか、すぐに理解できない。引き伸ばしたものを週に1 回、大学の階段教室の机に並べて眺めた。毎週少しずつ枚数が増え、自分の写真の動機にトボトボと気づくようになる。

カメラを持って歩いていると無心になる。カメラにフィルムをセットして数枚シャッターを切る。さっきモノクロフィルムを入れたのか、カラ―フィルムを入れたのかすっかり忘れてしまう。36 枚撮り終え、カメラを開けてから「ああ、カラ―(またはモノクロ)だったのか」と気づく。セットの際に確認していないわけではない。水や空気や風にはほんとうは色がない。

海と森に囲まれた場所で撮影した。初めてその土地を訪ねた日にその土地の空気をとても居心地よく感じた。そこへ行く用事を写真に担わせた。これでしょっちゅう行くための立派な理由ができた。

私は百道浜と油山の間にある町に生まれた。油山へ行くことはあまりなかったけれど、家の窓からきれいに見えた。海といえば百道浜。いつも散歩した。浜辺でぼんやり過ごした。東京で暮らしていると浜辺が恋しい。海は青いし、波音がするし、カモメの鳴声が聞こえるし、砂浜は白くて広いし、風が吹いているから心地いい。私はいま心地いい景色を欲しているのだと思う。幼少期に育まれた自分の感性が欲するものに、いまもうっとりしていることを認めると虚しくて悔しくて恥ずかしい。本当は自分なんてどうでもいいと言い切りたい。写真をやめないのは、このしごとには自分への回帰の他にも必ずちゃんと理由があると強く思えるから。どうしてそう思えるのか正直に言うとまだわからない。だからこの作品ははやく自分の手元を離れて、ただそれだけになればいい。手元で大事にしているから、自分へ回帰してしまう。世界は私のものではない。この作品が自分のものだけでなくなることを願う。