宮嶋康彦先生写真展『Siberia 1982』

2013年10月18日 | category: Teaching Staff


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宮嶋康彦先生の写真展が開催中です。

『Siberia 1982』
三十一歳。初めての海外取材がシベリアであった。当時の私は「日本人の起源」という命題に惹かれていた時期でもあり、シベリア鉄道で酷寒の地を旅することに憧れを抱いていた。列島弧への人類の移動は三方向からとする説がある。南方ルート、朝鮮半島の経由、そしてシベリアからの北方移入ルート。中でも、北国への憧憬が強かった私には、北方ルートへの関心が高かった。日本列島にたどり着いた古代人に会いに行こう…。そんな思いの背中を押したのはチェホフだった。彼の作品に『シベリア紀』というのがある。その冒頭の一文が私をシベリアに連れていってくれた。チェホフその人と思われる主人公が、がたくり馬車を操る男に訊ねる。「シベリアはどうしてこんなに寒いのかね」「神のおぼしめしでさ」1982年11月29日、新潟空港からハバロフスクに入った。すでに冬が到来していた社会主義国家ソビエト連邦は、ブレジネフという指導者を亡くしたばかりであった。KGB(ソ連国家保安委員会)による尾行、毎夜ホテルに部屋にかかってくる誘惑の電話、撮影フィルムの没収…憧れのシベリアは厳しい旅行であった。それでも私は積極的に人々に声をかけた。かれらは、私が示す和露、露和辞典を熱心にのぞきこんだ。日本人の源流をたどる私に社会主義を樹立したレーニンの孫たちは、どこか、懐かしい表情をたたえてカメラの前に立ってくれた。今、新生ロシアを支えている人々である。
モノクローム作品約40点を展示。

2013年9月20日(金)~11月16日(土)
11:00~19:00 入場無料 日・月・祝休廊

gallery bauhaus
〒101-0021
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Tel.03-5294-2566
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