2021年7月14日 | category: Student Work
学部生3年、崔航宇の写真展です。
個人にとって特別な意味を持つ「もの」がこの世には必ず存在している。それが木であったり、とあるシチュエーションであったり、心の避難所であったり、あるいはリアルから逃避するためのユートピアであったり……。
日本に留学してからの何年目からか、徐々に街での生活を排斥するようになった。まわりに建つコンクリートの建築物は、まるで冷たい監獄のように私をその中に閉じ込めた。
学校と借りた「家」の往復の日々で失われてしまったのは、単に生活への憧れだけではなく「欲望」そのものであった。人は「欲望」抜きでは前へ進むことができない。私自身にとっても「欲望」は前へ進むためのエネルギーであった。
行き詰まった時や、前に進めなくなった時、いつも心を緩められる場所を探している。私は原始の人のように森へ踏み出し、土の匂いの混ざった空気を胸いっぱいに吸い込んでみる。一つ一つの葉に触れ、山を見つめ、水に手を浸けその温度を感じ、やがて目を閉じて酩酊したかのように森の中で踊りだした……。
いつかの時代、無数の人がこの場所で私と同じ風景を眺めたに違いない。決して出会うことのない「彼ら」が私にとって特別な存在だと感じた。一つ一つの葉に名を付け、一つ一つの木に祈りを捧げたであろう無数の「彼ら」が私を取り囲み、やがて私も「彼ら」と一つになった。 Cui HangYu
【場所】
TOTEM POLE PHOTO GALLERY
東京都新宿区四谷4丁目22
第二富士川ビル1F
【展示期間】
7.20(火）-7.25（日）12:00 – 19:00
Profile / プロフィール
崔航宇/ Cui HangYu
1998 年中国西安出身
2021 年東京ビジュアルアーツ専門学校写真専攻卒業
現在東京造形大学造形学部デザイン学科写真専攻在籍