【ZOKEI講座】フェルメールの部屋でイメージの“現れ”について考える

2024年10月13日 | category: ZOKEI PHOTO LAB.


【ZOKEI講座】

フェルメールの部屋でイメージの“現れ”について考える

写真は19世紀に発明されたとされます。しかしそれは感光剤を用いたイメージの定着のことを指します。
カメラ(暗い箱)を始めとする光学機器は、それ以前から芸術表現に用いられていきました。

17世紀のオランダの画家ヨハネス・フェルメール(1663-1675)は、レンズを使ったカメラ・オブスクラを用いて絵を描いたことで知られます。
生涯に30数点しか作品を残さなかったフェルメールは、その作品の多くを、“フェルメールの部屋”と呼ばれる、柔らかい光の差し込む空間に、人物と家具や調度品を配置して描いています。
これまでフィリップ・ステッドマン、森村泰昌などが実証実験を通じて、その空間構成を研究しています。
しかし、フェルメールの用いたレンズについては、これまであまり研究されてこなかったようです。

北野ゼミナールでは、昨年度からフェルメールのカメラを再現して実証実験をしてきました。
その結果、いくつかの発見と疑問が生まれました。異様なカメラと言えるでしょう。極めて薄いイメージの“現れ”がそこにありました。

近代の始まりにあたるこの時代の特徴と共に、光からイメージの現れることについて考えます。
展示では、ZOKEIギャラリーにフェルメールの部屋とカメラを再現します。実際にカメラを覗いて、イメージの“現れ”を体験していただけます。

展示会期 2024年11月1日(金)~11月2日(土) 
開館時間 10:00~17:00
※11月1日(金)はZOKEI講座のため19:00まで、最終日は15:00まで
場所 東京造形大学ZOKEIギャラリー(12号館1階)
入場無料

【ZOKEI講座】
日時:2024年11月1日(金)17:30~19:00

<第一部>
学生による発表:17世紀の気象と光、フェルメールのカメラ

<第二部>
パネルディスカッション
パネラー:中尾拓哉、打林俊、北野謙

中尾拓哉
美術評論家/芸術学。東京造形大学非常勤講師。近現代芸術に関する評論を執筆。特に、マルセル・デュシャンが没頭したチェスをテーマに、生活(あるいは非芸術)と制作の結びつきについて探求している。著書に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017)。編著書に『スポーツ/アート』(森話社、2020)、『SUPER OPEN STUDIO——制作と生活の集合体』(Super Open Studio 2023実行委員会、2024)。近年のキュレーションに「メディウムとディメンション:Liminal」(柿の木荘、東京、2022)、「メディウムとディメンション:Apparition」(青山目黒、東京、2023)、「メディウムとディメンション:Maze」(GASBON METABOLISM、山梨、2024)など。

打林 俊
写真史家、写真評論家。1984年東京生まれ。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了後、2010-2011年パリ第1大学・国立美術史研究所招待研究生、2014年日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了。博士(芸術学)。2016〜2018年度日本学術振興会特別研究員(PD)として東京大学で研究に従事。
画廊勤務などを経て、現在は専門の核を写真史とした美術関係の執筆、展覧会企画や書籍のアートディレクションを手がける。美術評論家連盟会員、九州産業大学大学院非常勤講師。
主な著書に『絵画に焦がれた写真-日本写真史におけるピクトリアリズムの成立』(森話社、2015)、『写真の物語-イメージ・メイキングの400年史』(森話社、2019)、共著にDr. Paul Wolff & Tritschler: Light and Shadow-Photographs 1920-1950(Kehrer, 2019)などほか多数。現在はファッション写真の歴史についての書籍を準備中。2015年、花王芸術・科学財団 美術に関する研究奨励賞受賞。

北野謙
写真家、東京造形大学特任教授。人間の視覚を超えた、人 間と宇宙をめぐるビジョンを写真により表現する。主なシリーズに「溶游する都市」、「our face」「光を集める」、「未来の他者」など。主な展覧会に、2006 年「写真の現在 3-臨界をめぐる 6つの試論展」(東京国立近代美術館)、2010年「our face」(三影堂撮影芸術中心、北京、中国)、2016年「エッケ・ホモ現代の人間像を見よ」(国立国際美術館、大阪)、2017 年「アーティスト・プロジェクト#2.02 北野謙:光を集める」(埼玉県立近代美術館)。東川写真賞新人賞、岡本太郎現代芸術賞特別賞、日本写真協会新人賞などを受賞。国内外で個展、グループ展多数。作品は東京都写真美術館、東京国立近代美術館、J・ポール・ゲティ美術館(アメリカ)など、国内外の美術館にコレクションされている。

フライヤーデザイン:KANA SUN