2010年1月14日 | category: Teaching Staff
12月23日から2月14日まで、三重県立美術館で〈子どもアートinみえ〉と題した、写真ワークショップ企画展と中里和人写真展『ULTRA』を同時開催しています。(主催/三重県立美術館)
三重県は私の故郷であり、ゆかりの地での写真展は、サケやアユが生まれた場所に戻るような帰巣感を感じてしまいました。
ふだんの大学での授業とは違い、写真を扱うのは三重県の4つの小、中学校のこどもたちでした。集中してカメラで風景を撮るのは全員初体験で、ちゃんと写真が撮れるかすごく不安でした。しかし、実際に撮影が始まるとその心配は霧散し、こどもたちは次々と目をみはるような光景を撮りだしました。写真ワークショップ展はいつも通学している学区内のまちを撮影し、ふだん見慣れた土地で新たな風景をつかむことを目指しました。撮影総数17000カットの写真から500点をセレクトし、美術館の中にこども写真展の世界を展開しました。ワークショップに参加した人、そして参加しなかった人も美術館空間の中で新たな写真との遭遇が体感できる、不思議なインスタレーション空間を作ることにしました。
第1展示室は400枚余りのこども写真を壁面展示し、ギャラリーの中央部に4つの小屋を建て、小屋の中には写真ワークショップで体験したこどもたちの感想を貼りました。会場を訪れた人は小屋の中でこどもたちの声に出会い、小屋の外では壁面にコラージュされた写真に出会えるような構成にしました。ここでは、こどもたちが見つけた4つのまちの写真と声のドキュメントが見れます。
第2展示室はクリエイティブな視線でセレクトした80点の選りすぐりこども写真展になっています。7才から15才までのこどもたちが写し撮った三重県の風景の力があふれて来る展示室です。
第3展示室は写真ワークショップの様子が記録されたビデオブースと、こどもたちの暮らす4つのまちのスライドショーが見れる映像の部屋があります。他にも、まちが逆さに写るピンホール小屋や覗き小屋、廃材パレットで作られた路地のまちなどが展示された賑やかな街になっています。
600枚の板、100枚の合板、30個の廃材パレット、500枚の写真、2つの映像と音楽で構成された、不思議マチが美術館の中に突如出現したわけです。
そして、第4展示室では私が日本各地の夜景、闇景を追った最新写真展『ULTRA』も同時開催されています。
三重県の県庁所在地、津にある県立美術館で2月14日まで開催中です。機会があれば伊勢参りを兼ねて、美術館に現れた小屋のマチで、こどもたちの500の視線に触れてみてください。